そこへ、丁度さえない彼がやってきた。 「どうしたの?」 彼の優しい口調に、私はすがるように、こう言った。 「財布なくしちゃって… 休憩室もロッカーも探したんだけど、見つからなくて」 「本当に… とにかく探そう。 売り場は見た?」 彼は驚きながらもそう言った。 心細かったから、その低く安定した声にちょっと救われた。 「うんうん…まだ…」 私は首を振って、そう言った。