俺は、高校で保健室の先生と
して働いている。
『先生』って呼ばれることにも
やっと慣れてきたんだ。

俺は、どっちかというと、半端
な人生を送って来た。

親に反発して、社会に反発して
悪ぶって生きてきた。

そんな俺を『先生』と呼ぶ生徒
達。

俺がここで保健室の先生をして
いるのには訳がある。

俺を更生させて、正しい道に導
いてくれた恩師の遺言なんだ。

そして、この学校には、亡くなっ
た恩師の愛娘が通っている。

俺は、その子を恩師のかわりに
見守るためにここにいる。

彼女は体が弱く、毎日のように
保健室に運ばれてくる。

そんな娘を残して逝くことが
恩師にとってどんなに心残り
だったか。