無言のままだった先生が、口を
開きかけた時だった。

   『先生!!』

数人の生徒がドッと押し寄せて。

先生にとっては救いの手。

 「校庭でサッカーをしてして、
足ひねったみたいなんだ。」

そう言って運ばれてきたのは、
となりのクラスの桃花の彼で
・・・。

先生と話せるような、状態でも
なくて。

わたしは、とりあえずこの事を
桃花に知らせないと!!って
教室目指して、猛ダッシュ!!


 「桃花っ!!」

 「どうだった?先生は?
あのスマイルで迎えてくれた?」

何も知らない桃花は、能天気に
わたしを冷やかす。

 「桃花!!」
ハーハーゼーゼーと息が切れる。

 「だから・・・どうしたの?
告白でもされた?」

 「ち・・ちがう。桃花、彼が
ハァ・・・保健室に運ばれてきたの。」

 「彼って?っていうか星羅、息
切れすぎ!!日ごろ運動してないから。」

 「はぁはぁ。」

 「落ち着いて、話してよ。」

 「だから、椎谷(しいや)君が
保健室に運ばれてきたの!!」

 「何でよ!!」

 「サッカーしてて、足を怪我した
みたい。」

 「ちょっと行ってくる。」

桃花が、おもいっきり立ち上がる
から、イスが、

 〖ズドーン!!〗
って大きい音を立てて倒れた。

周りの視線はいっきに集中。
でも、桃花は焦ってるし。

イスもそのまま、廊下に飛び出した。

 「星羅っ!!ありがとう。」

廊下から響く声に手を振って
ゆっくりと深呼吸する。

久々の猛ダッシュで思っていた
以上に息が切れる。