同日 AM8:30


「新1年生の入場です。」

それほど年老いてない
男の人の声。

その人の声とほぼ同時に、体育館に割れんばかりの拍手の音が聞こえる。

私は、心臓がおかしくなるんじゃないかと思う位緊張していた。


A組からC組まで順に入場し、
用意されていたパイプイスに腰をおろす。


「生徒の紹介を行います。
1年生の皆さんは、名前を呼ばれたら返事をして立って下さい。」

さっきの男の人の声。
多分、教頭か何かなのだろう。


「1番 阿部太郎」

声の主が変わり、
女の人になった。

「はい」

「2番 井内翔悟」

「はい」

名前を呼ばれた人が返事をして立っていく。

「3番 池山翔太」

「4番 石黒武」………

「8番 田中陵馬」

「…はい」

私の隣に座っていた『田中陵馬』と呼ばれた人は、半ばダルそうに返事をして起立した。

少し茶色がかった髪には似合わない、幼さが残るその顔に私は見入っていた。