『まぁ…俺は嬉しいけどね』
『はぁ?何でだよ』
驚いた様に尋ねた俺に、陸哉は笑いながら答える
『だって…女を寄せつけなかったお前が……自分から関わっただろ?』
『それは…』
『まさかお前が地味子に惚れるとはなぁ』
大きく背伸びをしながら言う陸哉
いやいや……
何でそうなるんだよ
『違う、惚れた訳じゃない』
俺は手元にあるアメを見下ろしながら言った
陸哉な呆気に取られた顔で俺を見つめる
『惚れて……ない?』
訳が分からないといった顔をする陸哉を見て俺はため息を漏らした
………説明、すんのか…
『今度ある大会…知ってるよな?』
『あぁ……1か月後にあるメイクの大会だろ?葉憂、出るって言ってたし』
覚えてたみたいだな
これで少しは説明が省ける
『その大会では女の子1人をモデルにしなきゃいけない……ってのも前言ったよな?』
『言ってたね、大会概要が発表された後、葉憂…女子に捕まってたし』
俺は思い出したくない過去を思い出して「そうだったな…」と呟いた
概要発表があった後、自主的にモデルになりたいと言ってきた女子が俺の元に殺到した
あの時の女子達の香水臭さをを思い出しただけでも吐き気がする
『…それが何の関係が……、っ!?もしかして……!!』
陸哉が急に驚いた顔色を浮かべた
俺は静かに頷く……
『桃ちゃんを俺のモデルにする』