思わず頬が緩んで足どりが軽くなってしまう。

ナッキーはその様子を斜め後ろから冷めた目で見ていた。




*****

バカだ。

たかだかいつもより早く帰れるくらいでルンルンしちゃって。


斜め前を軽い足どりで歩く単細胞・高瀬 瑆乃を冷めた目で見た。


アンタなんかに瑆はやらないわ。


ナッキーこと那岐 希は心の中でつぶやいた。



瑆が瑆乃のことを話題にするようになったのは少し前からだった。

最近、席が近くなってよくしゃべるようになったと言っていた。

ちょっとおもしろくなかったけど、中学の頃は気の良いツレで、ほどほど仲が良いほうだったからそれ程気にしていなかった。


それなのに。



『ねぇ、イメチェンしねえの~?』

瑆は希の髪を弄びながら言った。

『なんで?どんな風に?』

そう聞いた。

『肩くらいまで切ってさー、ちょっと毛先はねさせて黒ぶちメガネかけてー?そしたら、高瀬みたいになるじゃん?』



は?