そう。あたしたちが通っているこの学校は偏差値50スレスレのレベルの低い学校なんだよね。


さすがに一校は狙えたかどうかはアヤシイもんだけど、もう少し上の学校に行けたはずなのは事実。

単純に『家が近いから』という理由で担任に進路調査を提出したとき、さすがにちょっと怒られた。


教えてもらうことはどこも一緒なんだからどこを希望したっていいじゃん、と思う。

環境はそれぞれ違うかもしれないけど自分なりの方法でがんばっていけると思ったから、親と担任の反対を半ば押し切るようにこの高校に入った。


選択に後悔は、ない。



「いいのいいの、後悔はないんだから。それより宝はこの恩恵をありがたく受けっとって成績ちゃんと上げなさい、よっと」

あたしは宝の鼻の先をつまんだ。

くそう、可愛いヤツめ。せいぜい痛がってやがれ。

「んんん!イヤンもう分かってるってばー」

宝はジタバタしてあたしから解放されると、ふうと息を吐いた。


「あ、そういえばさー安藤。文化祭のクラス展示結局何になったの?」

宝が思い出したように突然言いだした。