†続†黒いスーツの王子様

仏壇には…若い男の人と女の人。そして・・30代くらいの男の人の写真が飾られていた。



「これが私の夫。急な病でね…35歳の時に亡くなったんだよ・・」


―――!

「…そうだったんですか」

「そして、この夫婦は祐輔の父親と母親だ…母親の方が私の娘。祐輔が3才の時、2人とも交通事故に遭ってね・・」

「―――・・」


おばあちゃんは、写真をじっと見つめて言った。



「私はひとりしか子供を授からなかったから…娘夫婦が死んで、夫も死んで・・祐輔と二人きりになっちまった。祐輔には、寂しい想いばかりさせてしまったね…」


祐輔から…お父さんお母さんが、幼い時事故に遭って亡くなったことは聞いていた私。

それ以来、おばあちゃんに育てられたことも・・

改めて聞くその話に…少し心が痛んだ・・・




「…あの子・・祐輔には、本当苦労かけっぱなしだよ…親がいないから・・ばあちゃんにずっと育てられてて、おまけにばあちゃんの借金背負って…申し訳ないばかりだね・・」

「…おばあちゃん・・」


私はおばあちゃんの背中を、優しくさすった・・




「本当ならばあちゃんは恨まれてもおかしくないのに…祐輔は毎月大金を仕送りしてくれるんだよ・・おかげで、こんないい暮らしできて……私は本当に幸せ者だねぇ・・」


なんだか、祐輔のおばあちゃんへ対する想いが伝わる・・

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