今、あったことをすぐに伝えようとした。


けれど、声を出してみると、それがくぐもってしまう。


そこで初めて自分が酸素マスクを付けられていたことに気付いた。


近くにいたシーやんがそれを外してくれる。


あたしは言った。


「アイチに会った。事故なんか起こしてごめんって、ありがとうって、みんなは精一杯生きて、また会えるからって」


みんなは少しの間、その言葉を噛み締めるように黙っていた。


いや、目を覚まして突然、こんなことを言い出したあたしをおかしいと思っているのかもしれない。


けれど、部屋はあっと言う間にみんなの泣き声や嗚咽で溢れた。


ベッドを囲む全員が泣いている。


「そうか。真海子、愛生に会ったのかー」


シーやんが豪快に腕で涙を拭いながら言うと、チェリーは涙を拭うのも忘れて身を乗り出した。


「愛生、幸せそうだった!?」


あたしは頷いた。


「笑ってた。ディンゴも一緒だった」


「何かおれのこと言ってた?」


駆はものすごく期待のこもった声でそう聞いてきたけれど、残念ながら「何も」と答えるしかなかった。


それを聞いたみんなが笑う。