「先生…お久しぶりです、奥戸です」
「おぉ、久しぶりだな、奥戸。先生、この前、『ハーモニー』に行ったんだぞ?お前は休みだったけど」
「先生…」
そう言ったら、急に涙が溢れてきた。
その後が続かない。
その異変に気付いた大岩先生は、すぐに真剣な声になる。
「どうした!?奥戸」
あたしは泣きながら伝えた。
「アイチが…アイチがバイクで事故を起こしたんです」
「何!?福中が!?どこの病院だ?先生もすぐ行くから」
そう言った先生に、あたしは残酷過ぎる事実を告げなければならなかった。
「亡くなったんです」
「亡くなった!?あいつが!?」
先生は信じられないと言った様子で少しの間、黙っていた。
けれど、すぐに言う。
「連絡網を回した方がいいな」
「お願いします」
「高校関係は先生が連絡しておくから。あと何かできることはあるか?」
先生の声が優しかった。
「ありがとうございます。とりあえずみんなに連絡お願いします」
電話を切った。
次からは亡くなったことを先に言おう。
連絡をしなくちゃいけない人のリストから大岩先生の名前に線を引く。