小さい頃に習うこと、大きくなってわかること



白衣を着た先生は、駆けつけたあたしたちに深く頭を下げた。


「7月17日午前4時48分、ご臨終になられました」


その言葉の意味をあたしはなかなか理解できなかった。


周りにいたみんなが泣き出したり、床に崩れて行く姿がまるでスローモーションのように見える。


「お会いになれますが…」


先生がそう言うと、千津ちゃんが今にも消えてしまいそうな声で「お願いします」とだけ言った。


先生は軽く頭を下げると、先に歩き出す。


千津ちゃんと修介がそれに続くと、シーやんと駆が座り込んでいたチェリーの両脇を抱えて立ち上がらせ、支えながらその後に続いた。


勝ちゃんもゆっくりとその後に続く。


あたしは1人、それに続くことができなかった。


その場に立ち止まったまま、もうそこから動けない。


「真海子?」


顔を上げると、勝ちゃんが心配そうな顔でこっちを見ていた。


あたしはその目から視線を逸らし、また、白い床を見つめる。



勝ちゃんはみんなの後に続くのをやめて、あたしの前まで歩いてきた。


「真海子」


顔を上げると、優しい目。


けれど、あたしはやっぱりその場から動くことができなかった。