小さい頃に習うこと、大きくなってわかること



先を歩いていた勝ちゃんが振り返った時、あたしはただ、その場に立ち尽くして泣いていた。


「どうした!?」


勝ちゃんがあたしの側に戻ってくる。


戻って来てくれたのに、あたしはただ、泣くことしかできなかった。


こんな風に泣いたって気持ちは伝わるわけじゃない。


けれど、怖くて怖くて仕方ないから、ただ泣くしかない。


怖いんだ、捨てられることが。


ずっとずっと怖かったんだ、捨てられることだけが。



勝ちゃんはしばらくあたしの背中をさすってくれていたけれど、あたしが少し落ち着いた頃に言った。


「ごめんな」


顔を上げると、彼は本当に辛そうな顔をしていた。


何で?


何でそんな顔…


「ここを通る度、真海子が辛そうな顔するの、おれ、わかってたよ。今までホントごめん。もういいから。前のことは忘れて、今まで通りでいようぜ」


時間切れだ、と思った。


勝ちゃんはもう、告白のことは忘れて、前を向こうとしている。


そう思ったら、好きだと言う思いはもう口に出せなかった。



勝ちゃんは少し困ったような、けれど、優しい笑顔を浮かべていた。


「わかった」