小さい頃に習うこと、大きくなってわかること



家に帰ってからも多部ちゃんの言葉は、頭の中を回り続けていた。


もしこの思いを伝えなかったら、勝ちゃんにとっては何もなかったのと同じこと。


こんな風に悩んでいることも、ちょっとしたしぐさにドキッとしていたことも、ずっと一緒にいたいと思っていることも、全部なかったことになってしまう。


それは嫌だと心から思った。


けれど、恐怖が…


恐怖?


何だ、恐怖って。


アイチだって、駆だって、多部ちゃんだって、風由ちゃんだって、ちゃんと相手に気持ちを示している。


それが叶っても叶わなくても、ちゃんと相手に示しているんだ。


勝ちゃんは…


勝ちゃんはどれだけの勇気を持って、あたしに思いを伝えてくれたんだろう。



今までは自分の恐怖ばかりに目が行ってしまっていて、気付かなかった。


けれど、勝ちゃんにだって、恐怖はあったはずなんだ。


怖いのなんてみんな一緒だ。


怖くても伝えなきゃいけない。



勝ちゃんはいつまでもあたしのことを思ってくれるわけじゃない。


もしかしたらもう、時間切れになってしまっているかもしれない。


それでも伝えるべきなんだ。


しっかり伝えるべきなんだ。



次のバースデー会議の帰り、あたしは勝ちゃんに思いを伝えることを決めた。