小さい頃に習うこと、大きくなってわかること



「でも違うんですね。お互いに信頼して、深い絆で結ばれてるから、束縛する必要がないんですよ」


まぁ、それもあるだろうな、と思いつつ、あたしはもう1つの理由を思っていた。


アイチも駆もヤキモチを妬かないわけじゃないんだ。


ただ、それを2人にとってプラスの方向に変えられるだけのことで。


「愛生先輩は恋愛の仕方もカッコいいですよね」


多部ちゃんはそう言ってから続けた。


「ファミレスで3人で話した少し後、あたし、愛生先輩に誘われて2人で遊びに行ったんです」


「えぇっ!?」


思わず聞き返してしまった。


けれど、すぐにアイチらしいな、と微笑ましく思う。


「そこであたし、先輩の彼氏を好きになったこと、謝ったんです。そしたら愛生先輩、笑って言ってくれました。『あたしに勝つのを目指して、これからもファンでいてよ』って」


多部ちゃんの目には涙が浮かんでいたけれど、彼女はそれを隠すようにニッコリと笑った。


「髪の毛切ったの、失恋したからだけじゃないんです」


髪を触りながらそう言った多部ちゃんの表情が、嬉しそうだった。