夏祭りには、座れるスペースがいつも設けられている。
長机とパイプイスを道路に並べただけなんだけれど、大抵、屋台が終わると、みんな、そこに集まってゆっくりする。
写真を撮り終わってそこに行くと、もうすでにみんなの親たちは1ヶ所に集まって呑み始めていた。
「お疲れ様」
千津ちゃんと駆ママがあたしたちに気付いて声をかける。
あたしたちは口々に「疲れたー」なんて言いながら、千津ちゃんたちが空けておいてくれた席に座った。
「大盛況だったな」
チェリーママが鬼の表情を消して言う。
「さすがナシラ」
勝ちゃんパパがそう言って拍手をすると、千津ちゃんや駆ママ、チェリーママからも大きな拍手が贈られた。
自分の夢に一歩近付くような経験ができて、けれど、この拍手が1番嬉しい。
あたしはこの街に生まれて、こんな暖かい人たちに囲まれて幸せだ。
こんな時ばかりは実の親に捨てられた現実をちょっとだけ忘れていることができる。
人はこれ以上ないくらい心が暖まると、涙が出ることを知った。
