そして、その横には小学生くらいの女の子が一緒だった。


顔こそ見えないけれど、耳の高さで2つに結んだ髪の毛に、ピンク色のTシャツ。


あれは駆の妹の風由(ふゆ)ちゃんだ。


一体、何をしているんだろう。


不思議に思いながら、2人の元へ向かう。


その距離が近付いていっても、2人は一向に気付く気配を見せなかった。


こんなに足音を鳴らしていると言うのに、レターセットの方に夢中だ。


全く気付かれないまま、2人の後ろまで来てしまったあたしは、仕方なく、2人の肩を同時に叩いてみた。


「うわっ!」


「きゃっ!」


同時に上がった声に、叩いたあたしの方がびっくりする。


動きの止まったあたしを見て、アイチはホッとしたように言った。


「何だ、真海子か」


「真海子ちゃんでよかったぁ」


風由ちゃんはニコニコと子どもらしいかわいい笑顔を浮かべる。


「何、やってたの?」


笑顔でそう聞いてみると、風由ちゃんは少し照れたような顔を浮かべてから言った。


「好きな子がね、もうすぐサッカーの試合なの。応援のお手紙、渡すんだ」


そんなけなげな風由ちゃんを本当にかわいいと思ったけれど、すぐに頭の中に、ある人物の存在が浮かび上がってきた。