小さい頃に習うこと、大きくなってわかること



何とか緊張をほぐしたくてそう言ってみたけれど、何だかごく普通のアドバイスにしかならなかった。


とは言え、他にどんなことを言えばいいのかもわからない。


緊張をほぐす方法と言えば…


「あたしが駆先輩を好きだってこと、愛生先輩に話してないんですね」


多部ちゃんはこの前と同じ、ドリンクバーで取ってきたコーラをストローでかき混ぜながら言った。


「話してないよ」


そう言ってから、ドリンクバーで取ってきたアイスティーに口をつける。


「昨日、愛生先輩と信号ですれ違ったんですけど、本当にいつも通りに接してくれて」


彼女は少し寂しそうな表情を浮かべた後、さらに続けた。


「真海子先輩に話したら、絶対愛生先輩に伝わって、すぐに駆先輩に近付くことすらできなくなると思ってました。真海子先輩は愛生先輩とすごく仲良しだから、それが当たり前だろうなって覚悟してました」


そこまで言うと、彼女はあたしの顔を覗き込むようにして聞いた。


「何で言わなかったんですか?」


何でって、


「口止めされてれば言わないよ」


そう答えたけれど、多部ちゃんはまだ納得できないような顔をしていた。