パティスリー「ハーモニー」の午後は子どもを連れたお母さんたちで賑わう。
すぐ近くに幼稚園があって、そのお迎えの時間が午後2時らしく、それをちょっと過ぎた頃になると、店はもう満員だ。
今日も店内は子どもの騒ぐ声と、お母さんたちの世間話で賑やかだった。
「真海子ちゃーん!」
その声にケーキから顔を上げると、お母さんに抱っこされた凛ちゃんがショーケースのところから手を振っていた。
仕事を一旦中断して凛ちゃんの方に歩いて行く。
凛ちゃんとは1ヵ月くらい前に仲良くなった。
その前からよくうちのケーキを買いに来る常連さんだったけれど、ケーキを作っているところを見せてほしいと見学に来たことがきっかけで、よく話をするようになった。
「いらっしゃい。もう幼稚園終わったの?」
「うん。これからケーキ食べて公園で遊ぶの!」
「そっかー。楽しみだねぇ」
そんなたわいもない話を少しだけすると、凛ちゃんはお母さんと帰っていく。
そんな後ろ姿を見送りながらいつも思うのは、自分の妹のこと。
