小さい頃に習うこと、大きくなってわかること



ついさっき、頼りになる先輩を心がけていたと言うのに、それは見事に崩れ去っていく。


恥ずかしくなるぐらい、動揺してしまっていた。


これはきっとフレンチトーストで視線を逸らしても、どうこうできる問題じゃない。


ここに来るまで相談内容のパターンをいろいろ考えていたけれど、さすがにそれは例外だ。


「だって多部ちゃん、アイチのファンクラブ入ってたよね!?」


「入ってました。愛生先輩のことは今でも本当に大好きだし、カッコいいと思うし、憧れてます。でも、どうしても駆先輩のことが好きなんです。好きで、好きで、どうしようもないんです」


多部ちゃんの目が真剣だった。


あたしは何も言うことができずに、仕方なくただお手拭きをいじっていた。


思えばまだドリンクバーにすら行っていなかった。


まったくあたしは何をやっているんだ。



頭の中は完全にぐちゃぐちゃになっていた。


あまりに複雑過ぎる問題に、どこからどう考えるべきなのかわからない。


そんなあたしに、多部ちゃんはさらに衝撃的なことを告げた。


「あたし、駆先輩に気持ちを伝えようと思います」