これから彼女の話を聞くにあたって、会話中に視線を逸らせるものが必要だと思った。
ずっと彼女の顔を見ているわけにもいかないし、何かびっくりするようなことを言われても視線を逸らすことで心を落ち着けることができるはずだ。
何を言われても先輩らしい態度を、なんて一応は心がけているんだ。
「相談なんてどうしたの?」
注文を聞いた店員が見えなくなったのを見届けてから、あたしは早速そう切り出した。
本当はフレンチトーストが来てからにしたかったけれど、それまでの時間を潰す話もとくにない。
多部ちゃんは少しの間、目を伏せていたけれど、すぐに決意を込めたような強い目であたしを見る。
「先輩。これからあたしが言うことは自己中過ぎる話です。でも、自分なりにめちゃくちゃ考えて、まずは真海子先輩に聞いてもらおうと思いました」
その言葉で、アイチが関わっているだろうことはさらに濃厚になったような気がした。
何だかものすごい緊張感に襲われる。
多部ちゃんはゆっくりと深呼吸すると、またあたしに視線を戻してから言った。
「あたし、駆先輩のことが好きなんです」
「えぇぇっ!?」
