ほら、いつも通りって言うのはそう言う何気ないところにあるものなんだ。
「…だってどうせ乗せてくれないじゃん」
まるで最初から意図して言わなかったように工作する。
彼女は「よくお分かりで」なんて言いながら、自転車を引っ張り出した。
「でも、あたしは諦めてないからね。また明日から乗せてくれるまで言い続けるから」
「何でそんなに乗りたいの?」
それは予想もしていなかった展開だった。
今までずっと「乗せてほしい」とは言い続けてきたけれど、彼女はいつだって「絶対ダメ」の1点張りだった。
バイクに関することを聞かれたのは初めてのことで、思わず答えに詰まってしまう。
けれど、これはものすごいチャンスかもしれない。
限られた短い時間の中で、できるだけ説得力のある言葉を探す。
彼女の胸に響くような、それならと思ってもらえそうな、一発でOKが出るような…
けれど、あたしの回転の悪い頭じゃ、そんなにいい言葉なんて出てこない。
結局、あたしは正直な答えを口に出すしかなかった。
「乗ってみたいから」
「そのまんまじゃん!」
「だって、一生のうち、1度くらいは乗ってみたいんだもん!」
