小さい頃に習うこと、大きくなってわかること



それをカバンに入れて、今すぐあの男の街に向かえばいい。


けれど、あの男を刺してどうするの?


アイチはそれで本当に救われる?


救われない。


だって彼女はお母さんの幸せのために、今のこの過酷な状況に耐えているんだから。


けれど、誰かが救わなきゃ。


一体、どうやって?


わからない。


どうしたらいいのかわからない。


結局、あたしにできるのは「無理しないで」とか、「何かあったらすぐ呼んで」とか何の役にも立たない言葉をかけ続けることだけ。


「側で支える」と言えば聞こえはいいけど、結局、アイチのされていることに太刀打ちできるような力は持っていない。


本当に役立たずだ。


たとえすぐあたしを呼んでくれたとしたって、駆けつけたあたしにはまた繰り返し同じ言葉をかけることしかできないんだ。


何度寝返りを打っても、落ち着く体勢にはならなかった。