小さい頃に習うこと、大きくなってわかること



「…帰って」




後にそのことを深々と謝りに来たアイチは、どうして何でも1人で抱えようとするのかと言うあたしの問いに、人を悲しませるのが嫌いだから、と語った。


今回もきっと、あたしを悲しませるのが嫌で彼女は笑っていた。


と、思いたい自分がいた。


けれど、あたしもそこまで楽観的じゃない。


小学6年生のあの日から、ずっとどこかに引っかかっていた。


彼女は救われることを諦めているんじゃないか、と。


誰にもどうすることもできない、と今も思っているとしたら…


そうじゃないと思わせてあげたい。


必ず救ってくれる人がいるんだと彼女に教えてあげたい。


とは言え、どうしたら彼女を救えるのかと言われると、その答えはわからない。


わからないから、今日もあたしは、アイチの立場に自分を置き換える方法で、その答えを探してみる。


物心ついた時にはお父さんがいなくて、ずっとお母さんと2人暮らし。


そのお母さんはいつも男とフラフラしていて、自分には滅多にかまってくれない。


そんなお母さんがある男と再婚することになった。


その男はものすごく優しくて、まさに理想のお父さん。