息がうまくできない。
冷たい空気がまるでドミノ倒しのように首筋から背中一面を覆っていく。
今、あたしがいる玄関からは、短い廊下の突き当たりにある部屋が少しだけしか見えない。
それでもそこがどうなっているのかはすぐに想像ができた。
慌てて靴を脱ぐと、短い廊下を3歩ほどで歩き切る。
目の前に広がる部屋には、あたしの予想通りの光景が広がっていた。
まるでポルターガイストが起こった後みたいだった。
倒れて背面の見えた棚の下には、押しつぶされてしまったふかふかのソファ。
さらにその横には全身鏡が倒れているせいもあって、その1ヶ所だけまるで粗大ゴミの不法投棄現場みたいになっている。
テレビには白いローテーブルの角があたっていて、その上に置いてあっただろうマグカップやお菓子が床に散乱していた。
体がうまく動かず、視線だけを右にやると、寝室として使われているもう1室も同じようなことになっていた。
壁から不自然に離れた机、破れて穴の開いた押し入れの戸。
床にはCDやMDが散乱していて、化粧水らしきビンは割れて破片があちこちに飛んでいた。
