小さい頃に習うこと、大きくなってわかること



本当はいつも通り、11時の待ち合わせの時に渡してもよかったけれど、今回は思いのほか、良い物だったこともあったし、毎回同じ渡し方をしたんじゃおもしろくない気がして、それなら久しぶりに突撃訪問してみようと考えた。



いつも待ち合わせに使う自転車置き場から、アイチの部屋を見上げてみる。


まだ外が明るいせいで、電気がついているのかはわからないけれど、もしいなかったらテーブルの上にでも置いて帰ればいい。



階段を上がり切ったところで、くるりと進む方向を変える。


手に持ったブーケを見ながら、わくわくした気持ちで1番端の部屋まで行く。


ドアの横に付いているインターホンを押すと、中からピーンポーンと小さく音が響いた。


ディンゴのイメージにぴったり合うブーケに、アイチはどんな反応をしてくれるだろう。


彼女のいろんな表情が頭の中に浮かんでくる。



けれど、いつまで待っても、中から人が出てくるような気配はなく、何度かインターホンを押し直しても、ドアの向こうからピーンポーンと言う音が響いてくるだけだ。