地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー

……。


……起きねぇ。


ピクリともしない杏。

数回名前を呼んでみても、まったくダメ。


だんだん……ムカついて来た。


お前から誘っておいて、俺を放置するとは良い度胸してんじゃねぇか。


「杏……いい加減起きろ」


──パチンっ!


杏の額から、いい音が鳴った。


俺が、デコピンしたからな。



「ゔぅ゙……いだい……」


痛みでようやく起きた。

しかし、まだ眠たいらしく……ぼーっとした目で、俺を見上げる。


「あ……りーだ……」

「こんなとこで寝るなよ……」


寝ぼけているのか、舌足らずで、呂律がまわってない。


「杏?」

そして、名前を呼んだ瞬間。




「りー……だっこ!」



フニャっと笑って……俺に両手を伸ばして来た。