地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー

ハァ……と大きなため息をつく。


すると。


「あーちゃん……どうしたの?」

「え?」

「顔が真っ青だよ?」

「っ……」


繭ちゃんが座ってたイスから離れ、あたしのところへ来てクイクイと服の裾を引っ張ってる。

顔色が悪いことを心配してくれているようだ。


「ううん、何でもないよ」


こんなに小さな繭ちゃんにまで、心配かけちゃいけない。


繭ちゃんを抱き上げて膝に乗せた。

ぺたぺたと頬を触られる。


「だいじょーぶ?」

「うん、全然平気」


問い掛けに、ニコッと微笑んで見せた。

繭ちゃんのサラサラな黒髪を撫でる。


最近……陸に頭撫でてもらってないなぁ。

ちょっぴり甘えたいなぁ……。


繭ちゃんを見ながら、そう思っていると。


「杏樹」


柚莉から呼びかけられた。