――グラッ


突然、めまいが襲う。



座ってもいられない。


このまま、床に倒れてしまいたい。



――バタンッ



「ハアッ……ハアッ……」


呼吸が上がってきた。


額に、びっしょりと汗が浮かんでいるのがわかる。

何だか、喉も痛い。

風邪を引いた時みたい。



寝転んで、目だけを動かし、倉庫の入り口を見た。


あれま……。


あんなにいた警官さんたちが、床に倒れている。 


じいちゃんが、気絶の呪文を唱えたのかな?


じゃなきゃ、結構ヤバい光景だったはずだもんね?




「記憶も消してくれると……ありがたいなぁ……」



そんなことを呟いていると。



「杏っ!」



聞きたくて、会いたくてたまらなかった人の声がした。






もう、本当に終わったんだ……。





そう思って、あたしは意識を手放した――――。