―≪バッかじゃないの? この閻魔大王!≫

―「え……?」

―≪アンタがあたしをちゃんと家まで送ってくれないから、こんなことになったんでしょ!?≫



―≪あーイライラする。これもすべて閻魔大王のせいだから!≫

―「杏樹?」

―≪……ったくこの役立たず! アンタには、送って行くくらい役不足でしょ!? えぇ!?≫

―≪閻魔大王! ぬらりひょん! 大悪魔!! この3大妖怪めっ!≫




―≪棚うちと木庭素に。……陸助けて?≫

―「は?」

―≪陸、3大妖怪でしょ?≫




あ……まさか。


音声を聞いていて、思いついた。




――カシャーン


ケータイをその場に落とす。


「陸くん?」


お袋さんが、涙目で俺に話しかけた。





「紙とペン貸してください!」


その声も無視して、新聞の間に挟まっていたチラシと、男性刑事の胸ポケットにあったボールペンを奪う。



「あ、君っ私の!」


刑事の制止も振り切って、チラシの裏にペンを走らせた。