地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー

心の中に、雨雲が立ち込めてくる。

ど……どうしよう。


キュッと両手を握りしめた。

彼女たちの会話に、また耳を澄ませる。


「滝本くんって、ホント王子様みたいなんでしょ? 紳士的で優しくて気が利くらしいし!」

「真由美のモロタイプじゃん?」


キャッキャッと騒ぐ彼女たち。


「そ・れ・に!! 今、フリーらしいよ!!」


へっ!?

真由美と呼ばれてる女の子の隣に座ってる子が得意げに告げた。


いや……フリーじゃないよ。

ちゃんと彼女いるもん……。


そうは思ってても、口には出せないあたし。


「だって、滝本くんに彼女がいるってちっとも聞かないし……真由美チャンスだよっ!」

「真由美が告白したら、付き合ってくれるかなぁ?」


細い指をぷっくりとした唇にあてて、首を傾げてる。