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――カシャン


金属の擦れあう音が聞こえる。



男は、シルバーの鎖を杏樹の手足首に巻きつけた。



「さぁ、そろそろ杏樹が起きる頃だね」


そう言いつつ、彼女の口にガムテープを張る。




「杏樹とキスできないのは悲しいけど……俺の正体をしゃべられたら……すべてがダメになるし、ごめんね?」




そう告げて、ガムテープの上からキスをした。












それからしばらくして。



「んっ……?」



長い間、睡眠薬で眠らされていた杏樹が目を覚ます。



パチパチと瞬きを繰り返して、目を明るい視界に慣れさせた。





そして、少し離れたところにいる人物の顔を見る。



男は、顔を隠してはおらず、杏樹に素顔を見せていた。




「~~~~!!」


口をガムテープでふさがれているので、声は出せない。


それでも、杏樹は目の前にいた人物の名前を叫んだ。


そう、ストーカーは……彼女も知る人物だった。