「はい……」
彼女は、箱にサインをして、荷物を受け取る。
「では、ありがとうございました!」
ペコッと一礼をして出て行く集配業者。
玄関には、俺らだけが残された。
「樹里? 何が届いたんだ?」
親父さんがお袋さんに歩み寄って、受け取った荷物を覗きこむ。
「え? あぁ……なにかしら」
そう言って、彼女も伝票の品物欄を見た。
だが……。
「「え?」」
杏の両親が口をそろえて声を上げた。
「樹里ママ? どうしたの?」
松沢が、彼らが持っている箱を見る。
そして。
「これって……例のストーカーからよ!」
そんな声を上げた。
――ビリビリッ
お袋さんが、箱にフタをしているガムテープを乱暴にはがす。
やがて、箱のフタを開けた。
――パカッ……
お袋さんが、開けた瞬間。
「キャアアアアア!」
――ボトッ
持っていた箱を悲鳴と同時に床へ落とす。