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「ハア……ハア……」


明かりのついた部屋の中、男の喘ぎが響く。




目の前にいる杏樹は、まだ起きていない。


睡眠薬は切れていない様子。




彼女の体には傷ひとつもなく。


肌荒れもない。


キレイな杏樹。





彼女のまわりの男たちの間で、話題になってしまうほど……スタイル抜群だと聞いていた男。



だが……先ほど、自分の目で確かめて理解できた。



「これからは……俺だけが……杏樹と……」


杏樹の頬に指を添えて呟く。



その表情は嬉々としていて。



もう一度、さっきまで触れていた体を撫でた。



そして……口づける。





すると。


男の視界に“とある”ものが目に入った。



「ピンキーリングか」



杏樹の右手の小指にはめられている陸からもらったリング。