顔をしかめ、拳をつくっている。


「杏樹は、陸くんには話していたんじゃな?」


じいちゃんの言葉にうなずいた。



「はい。杏自身は……あんまり真剣に考えていた様子はなかったんですが。それより呪詛の方を優先していて……」


そう返すと、じいちゃんが渋面をつくる。




今までの高校時代のことを考えると。


メールや電話で脅迫されたり……尾行されていたわけじゃねーから、杏も『こんなのヘーキ』だと言っていた。


さすがに……自分の隠し撮り写真が送られて来た時は『キモイ』などと言っていたがな……。





「では、このラブレターを送ってきていた人物と一緒にいる可能性が高いと?」

「そうは言いきれませんが……可能性はあります」


親父さんの言葉に、少し唇を噛みつつ返した。



となると、誘拐されたってことになるのだろうか?


いや、それにしては……こちらへの連絡がない。


杏がいなくなったのが、だいたい……午後6時頃だとして、今は9時に近い。


自分の腕時計を見ながら時間の確認をした。





杏……お前どこにいんだよ。