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「どうしてだ! どうして、ヤツは……滝本は体調を崩さない!」



――ガサッ!



男は、怒りで、自分の部屋の机に置いていた陸や杏樹の資料を床に落とした。


何枚ものの白い紙が宙を舞い、パラパラと落ちていく。




――ガンッ!!



「呪詛は成功したというのに!」




男はつくった拳を、机に叩きつけた。







ジーンと鈍い痛みを放つ両手を見つめる。









「大丈夫だ。俺には……杏樹がいるんだから」









そう呟いて、男は……ニヤリと笑った。












――ガタン……



部屋のドアを開け、薄暗く狭い通路を歩く。