3人で、ご飯を食べながら話す。


「そういえば、滝本くんもひどい目に遭わされたんでしょう?」

「あ?」


カレーを食べる手を止めた陸が、零ちゃんを見た。


「呪詛ってもの?」

「あぁ」


返事をして、またヤツはカレーを口に運ぶ。


「体は大丈夫なの?」

「だいぶ。杏が隣にいる限りは、酷くはならない」


零ちゃんと陸がこんな会話をしている中、あたしはオムライスを口に入れていた。


だってね、濃いデミグラスソースがフワフワの卵にかかっていて……本当においしいんだもん。

やっぱ、これはカフェテリアの中で1番おいしいよね。


そんなことを考えつつ、少しだけふたりの会話に耳を傾ける。



零ちゃんたちにも、陸の呪詛のことは話してある。


あたしが京都に行った、あの1週間の間に丑の刻参りをされて……陸が倒れたと。


呪詛自体は、まだ撫で物の紙に毎日移されていて、正気を取り除けば……日常生活は、だいぶ普通に送れるとも。


「へぇ~杏樹って、やっぱりすごいのね」

「ほえ?」


零ちゃんのそんな声が聞こえて、オムライスから視線を彼女に移した。

耳を傾けたつもりだったけど、まったく会話の内容は、入ってきていなかった。

あたしは、オムライスに夢中だったようです。


「なんか言った?」


スプーンを口から出して、問いかけた。


「いつもはこんな感じの天然娘なのにね」

「へ?」


あたしを見ながら、零ちゃんはため息をつく。

え、なんでつかれちゃってるんですかね?

全然話が読めないあたしは、陸と零ちゃんの顔を交互に見るけど。


「仕事の時は、別人だよな」

「へえ~」


ふたりの会話は、まったく理解不能だった。