地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー

どうやら支払いを済ませて、ここに来たらしい。


「なにかな?」


満面の笑みを浮かべて、女を見た。


ここまですれば、「さすがに頬を染める」と思っていたのだけど、コイツは、変わらない表情で続ける。


「本、ありがとうございました!ずっと探してて。これくらいしかお礼できないけど……」


そう言って、差し出された女の手。

なにかが握られている様子。


ケータイの番号とかだよな。

『メールしてね』とかじゃ?


まぁ、もらっておこう。


そう思って、手のひらを出す。


――コロン……


え?


手のひらに落とされた感触は、メモとかじゃない。


「飴……?」


そこには、包装された小さなアンズ飴が数個あった。


「じゃあ、ありがとうございました!」


ペコッと頭を下げて、また走り去っていく。




アイツ、これを渡すために戻って来たのか?


「ホント、変な女……」


手のひらにあるアンズ飴を見つめた。


初めて、出会った。


俺の外見に、興味持たなかったヤツ。


あの女は、本のことしか頭になかったようだ。


俺を見ても、他の女たちのように態度を変えることもなく、自然で。


飾りっ気なんてなくて……キスマークすら知らないくらいに純粋で。