――ガタンッ……


すぐに女を引きはがし、教室の壁に叩きつける。


頭おかしいのか、この女。


「何するの?」


ネコを被ったまま、怒りを抑えた口調で問いかけた。


しかし。


「なにって、キスだよ?」


ニッコリと笑う女は、悪びれたりもしない。

お前、彼氏いるだろーが。


「冗談でもこんなことしない方がいいよ、彼氏が悲しむよ?」


女と少し距離をとった。

すると……コイツは驚くことを口にする。


「え~? だってアイツ、キスもエッチも下手なんだよね。物足りないの。ねえ陸くん、あたしとエッチしよう?」


――ギュッ

本性を見せた女が、再び俺に抱き着いた。


その制服は、着崩され……胸元が見えている。


ありえない。

俺に、友達を裏切れと言うのか?


「ムリ。そんな風に見れないし、ヤろうとも思わない」


女は体から引きはがし、空き教室から出ようとした。


「え? ダメ??」


断られるとは考えていなかったのか、女はビックリというような表情。



だが、すぐにフッと笑うと、再び俺に近づき、俺の手をとると、自分の胸元へと誘導する。


「ねぇ、あたしが今の彼氏と付き合った理由、教えてあげようか?」

「は?」

「陸くんと、こういう関係になるためだよ? それ以外、アイツに価値ないもの」



そう言う女が悪魔に見えた。