――陸side――
俺の状態を見て、ワンワン泣き、抱き着いてきたかと思えば。
突然泣き止んで、部屋を飛び出していった杏。
どうしたんだ?
「すぐ戻るから」
その言葉通り、杏は……ものの30分で俺の部屋に戻ってきた。
両手にたくさんの何かを抱えて。
「なにすんだ?」
ベッドに起き上がったまま問うと、杏は荷物を広げながら答える。
霊力の強い杏がいるせいか、さっきまでの苦痛が少しだけ和らいだ。
「撫で物」
は……?
答えてくれたが、まったく意味がわからない。
「なんだそれ」
「あたしたち陰陽師の術。陸にかけられている呪詛を、別のモノに移す」
そう言って、俺の傍に来た杏の手には、墨を含ませた筆と、真っ白い人型の形をした紙があった。
「ここに、名前、生年月日、年齢と性別を書いて」
筆を紙を差し出され、とにかく受け取る。
「これに書くのか?」
「うん」
頷く杏の顔が真剣だったので、さっそく書いてみた。
滝本陸、11月16日生まれ、18歳、男、と。
書き終わると、杏が俺から筆を取る。
「一番、体の中でツライ個所はどこ?」
「は? 頭だけど……」
何が何だかわからないまま、素直に答えた。
俺の状態を見て、ワンワン泣き、抱き着いてきたかと思えば。
突然泣き止んで、部屋を飛び出していった杏。
どうしたんだ?
「すぐ戻るから」
その言葉通り、杏は……ものの30分で俺の部屋に戻ってきた。
両手にたくさんの何かを抱えて。
「なにすんだ?」
ベッドに起き上がったまま問うと、杏は荷物を広げながら答える。
霊力の強い杏がいるせいか、さっきまでの苦痛が少しだけ和らいだ。
「撫で物」
は……?
答えてくれたが、まったく意味がわからない。
「なんだそれ」
「あたしたち陰陽師の術。陸にかけられている呪詛を、別のモノに移す」
そう言って、俺の傍に来た杏の手には、墨を含ませた筆と、真っ白い人型の形をした紙があった。
「ここに、名前、生年月日、年齢と性別を書いて」
筆を紙を差し出され、とにかく受け取る。
「これに書くのか?」
「うん」
頷く杏の顔が真剣だったので、さっそく書いてみた。
滝本陸、11月16日生まれ、18歳、男、と。
書き終わると、杏が俺から筆を取る。
「一番、体の中でツライ個所はどこ?」
「は? 頭だけど……」
何が何だかわからないまま、素直に答えた。


