地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー



「ハァ……ハァ……」


その瞬間。

――ブーッ……ブーッ!

バックの中で、マナーモードにしていたケータイが鳴る。


誰?

こんな時間に電話なんて……じいちゃんたちかな?

早足で歩きつつも、ゴソゴソとバックの中から、ケータイを取り出した。


陸の家までは、あと15分ほどで着くところだ。

電話の相手は、やっぱりじいちゃんで。

歩くのを止めて、通話ボタンを押す。


「じいちゃんっ……?」


息が多少上がったまま、ケータイを耳にあてた。


「杏樹か?」

「うん」

「バイトは終わったのか?」

「うん」


真っ暗な道で、通話の声だけが響く。

空を見上げると、わずかに星が見えた。

あ……明日晴れるかも。


そんなことを考えて、息を整えていたのに。



「杏樹、仕事を言い渡す」


じいちゃんの厳かな声で、あたしの気は引き締まる。


「ごめん、じいちゃん。ちょっと陸のとこに行ってからでいい? さっき倒れたって聞いて……顔見たら帰るから……」


ダメもとで、頼んでみた。

仕事は、明日からじゃダメかな?

けど、じいちゃんの対応は……。


「……杏樹。お前に来た依頼なんじゃ」


なんだか……元気がない。

悲しげなもので、こっちが不安になる。


「あたしに?」


ケータイを持つ手に、力がこもってきた。


「今から……依頼主のところへ行ってもらう。よいか?」


じいちゃんの言葉に、あんまり頷けない。