「あたしに対して過保護で、見た目の割には子供っぽいし、すぐ怒って拗ねて、ワガママ言うけど……」
一拍置いて、続ける。
「あの人の隣なら、あたしは……フツーの女の子でいられるんだ」
握っていた羽根のネックレス見て、ちょっと頬を緩めた。
家のこと、仕事、全部取っ払って。
ただの神崎杏樹という、ひとりの女の子になれるの。
陸に会いたいなぁ……。
遠く離れた地にいるヤツを思い出して、今すぐ顔を見たくなった。
思いっきり抱きしめてほしくなった。
帰ったら、してもらおっと!
そんなことを考えていたら。
「……よかったわ。杏樹ちゃんには、そんな人が現れて……」
ポツリとばあちゃんが呟く。
そして、あたしの方を見た。
「あなたは、昔から心配だったの。誰よりも強い力で生まれてきたから……」
そう言って、あたしの頭を撫でてくれる。
「ばあちゃん……?」
フフッと笑うばあちゃんを、見つめた。
すると、遠くを見つめながら、昔話をしてくれる。


