地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー

なるほど、この天然娘のルーツがわかった。

ばあちゃんから来たわけか、この遺伝子。


フッと笑って、杏の顔を眺める。



そして、お袋さんに、コイツも知らない、自分たちの秘密を話してみることにした。



「俺と杏って、中学の頃に一度だけ会ったことがあるんです」


ポツリとそう呟くと、お袋さんは驚いた顔をする。


「あら、そうなの? いつ、どこで?」


興味を持ったのか、ずいっと顔を近づけられた。


「中3になった時でした。本屋で、杏が探していた本を、俺が見つけて。手渡したんです」

「へぇ~杏樹は覚えているの?」


お袋さんが杏の長い髪を撫でながら聞いてくる。


「いいえ、覚えてないですよ。手渡したのが、俺だったとも気づいてないし」


ハハッと笑って返した。




そう、あの時。杏の部屋に行った時に見つけた文庫本は、俺たちが中学の時に会った証。


この天然鈍感娘は気づいてねえようだが。




「それを知った時、やっぱ……高校で出会ったのは、偶然じゃないんだなって。こんなこと言うのってキザみたいで恥ずかしいんですけど……杏とは、運命なんだろうなって……」



そこまで言って、やっぱり俺、何言ってんだと思った。


それも、彼女の母親に向かって!

恥ず!!



フイッと顔を背けて、窓の外を見た。


その様子を見ていたお袋さんは、フフッと笑いだす。


「運命ねぇ~?」


彼女のその表情は、ニヤニヤとしていて、余計に俺の羞恥心をあおった。