陸の悲しそうな顔は見たくない。
あたしが嫌いなものだから。
でも……これは、必要な時と思うんだ。
だから。
「陸、ちょっと話がある」
繭ちゃんを柚莉に預けて、ヤツをみんなのいるところから呼び出した。
うす暗い外来。
深夜だから当然誰もいない。
「杏?」
陸を病院の正面玄関のホールまで連れてくる。
ヤツは、あたしが何をしたいのかわからない様子で急かしてきた。
早く会長のところに戻りたいよね。
「ここまで来れば、零ちゃんたちに会話を聞かれることはないかな……」
ホールの真ん中で足を止めた。
「なんだよ話って……」
後ろをついてきていた陸が問いかけてくる。
ヤツに背中を向けたまま、一言告げた。
「ごめん。あたし、約束破る」
「は? 約束って何の……」
「あたしなら、医学は無理でも会長を治せると思うの」
「は……ッ!?」
陸のまとう雰囲気が険しさを帯びる。
あたしの言いたいことがわかったみたい。
「もちろん、すべてはムリだけど。絶対に今よりはい……」
「ダメだ」
あたしの続きの言葉をかき消すように、陸が低い声音で言った。
振り返って、ヤツの目を見る。
うす暗くてもわかるくらいに、怒ってた……。
「バカが。約束しただろ!」
ホール中に響くくらいの大声で怒鳴られた。
「今は必要な時だよ」
いつもなら、こんな閻魔大王になった陸は怖くて仕方がないのに、怖くなかった。
あたしが嫌いなものだから。
でも……これは、必要な時と思うんだ。
だから。
「陸、ちょっと話がある」
繭ちゃんを柚莉に預けて、ヤツをみんなのいるところから呼び出した。
うす暗い外来。
深夜だから当然誰もいない。
「杏?」
陸を病院の正面玄関のホールまで連れてくる。
ヤツは、あたしが何をしたいのかわからない様子で急かしてきた。
早く会長のところに戻りたいよね。
「ここまで来れば、零ちゃんたちに会話を聞かれることはないかな……」
ホールの真ん中で足を止めた。
「なんだよ話って……」
後ろをついてきていた陸が問いかけてくる。
ヤツに背中を向けたまま、一言告げた。
「ごめん。あたし、約束破る」
「は? 約束って何の……」
「あたしなら、医学は無理でも会長を治せると思うの」
「は……ッ!?」
陸のまとう雰囲気が険しさを帯びる。
あたしの言いたいことがわかったみたい。
「もちろん、すべてはムリだけど。絶対に今よりはい……」
「ダメだ」
あたしの続きの言葉をかき消すように、陸が低い声音で言った。
振り返って、ヤツの目を見る。
うす暗くてもわかるくらいに、怒ってた……。
「バカが。約束しただろ!」
ホール中に響くくらいの大声で怒鳴られた。
「今は必要な時だよ」
いつもなら、こんな閻魔大王になった陸は怖くて仕方がないのに、怖くなかった。


