へ?
今なんて?
自分の聞き間違いだと思った。
会長が……。
「渋滞にあってるの?」
とんちんかんなことを口にする。
「ちがう。重体だ」
重々しい陸の声。
やはり、間違いではなかった。
心臓が逸り、落ち着きを保てない。
そこからは、陸の話なんて耳に入らなかった。
会長が重体……。
それだけが頭の中をグルグルとまわる。
ただ一言聞こえたのは。
「今すぐ、病院に来い」
あたしの家から、車で30分ほど離れた場所にある大きな総合病院に来るように言われたことだった。
あたしの家族はみんな出張とかでいなくて、自分でなんとかして行かなくちゃいけない。
こんな時間に、病院に呼び出されるのが会長の家族だけでなく……。
友人のあたしや陸が呼ばれるということは……暗黙で『死を覚悟しろ』と言われた気分だった。
それからは、どうやって病院まで行ったのか覚えてない。
とにかく着替えて、繭ちゃんを連れて……タクシーに飛び乗ったんだと思う。
病院の時間外受付に行って、会長の居場所を聞いた。
「救急の方です」
病院内の警備さんに教えてもらって、繭ちゃんの手を引きながら走る。
うす暗い病院内を走って行くと、電気が煌々とついて、明るい場所があった。
そこは、ICUの前で。
陸、柚莉、零ちゃんやありさちゃんたちが集合している。
「杏樹……」
頬にいくつもの涙の跡が残る零ちゃんが、あたしが来たことに気付いた。
今なんて?
自分の聞き間違いだと思った。
会長が……。
「渋滞にあってるの?」
とんちんかんなことを口にする。
「ちがう。重体だ」
重々しい陸の声。
やはり、間違いではなかった。
心臓が逸り、落ち着きを保てない。
そこからは、陸の話なんて耳に入らなかった。
会長が重体……。
それだけが頭の中をグルグルとまわる。
ただ一言聞こえたのは。
「今すぐ、病院に来い」
あたしの家から、車で30分ほど離れた場所にある大きな総合病院に来るように言われたことだった。
あたしの家族はみんな出張とかでいなくて、自分でなんとかして行かなくちゃいけない。
こんな時間に、病院に呼び出されるのが会長の家族だけでなく……。
友人のあたしや陸が呼ばれるということは……暗黙で『死を覚悟しろ』と言われた気分だった。
それからは、どうやって病院まで行ったのか覚えてない。
とにかく着替えて、繭ちゃんを連れて……タクシーに飛び乗ったんだと思う。
病院の時間外受付に行って、会長の居場所を聞いた。
「救急の方です」
病院内の警備さんに教えてもらって、繭ちゃんの手を引きながら走る。
うす暗い病院内を走って行くと、電気が煌々とついて、明るい場所があった。
そこは、ICUの前で。
陸、柚莉、零ちゃんやありさちゃんたちが集合している。
「杏樹……」
頬にいくつもの涙の跡が残る零ちゃんが、あたしが来たことに気付いた。


