地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー

――クルッ

回転するイスをまわし、陸があたしと向き合うような形になった。


「ほら、休憩!」


ヤツの両手を握って、引っ張り、パソコンの前から立ち上がらせる。

そのまま、ソファーへと連れて来た。

陸は、テーブルに置いてある湯気の上がったコーヒーを見て、うれしそうな顔をする。


「サンキュ」


そう言うと、ソファーに腰掛けて飲み始めた。


よしよし、休んでる。

仕事ばっかりじゃ、体に負担かかるもん。

それにさ?


忙しいってわかってるから口には出さないけど、あたしだって、ちょっとだけ構ってほしい。

ギューくらいしてほしいなぁ……。


すると。

――カタン……

陸がまだコーヒーの入ったカップをテーブルに置く。


「おいしくなかった?」


隣にいるヤツの顔を覗きこみながら問いかけた。


だけど、答えは言葉じゃなくて。

行動で返ってくる。


――ゴロン


「ん……」


陸があたしの膝を枕に、ソファーで横になった。


「膝枕がよかったの?」

「あぁ……これが落ち着くから」

「そっか。いいよ」


下にある陸の顔を見つめて、微笑み返す。


深いブラウン色で、サラサラの髪を撫でた。

心地よかったのか、ヤツは目を閉じてあたしにされるがまま。

テレビの音も小さくして、リラックスできるようにする。


「杏は5時からバイトだっけ?」

「うん。4時過ぎたら行くよ」


目を閉じたままの陸との会話。


なんだか、時間の流れがゆっくりしてるなぁ~って思った。


「ね、お仕事楽しい?」


ヤツの顔を見ずに、窓の外の景色を見たまま問いかける。