地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー

どっちの社長のことを言っているのかと考えて、聞いてみることにする。


「どういう方なんですか?」


そう問い掛けると、彼は少し考えるような仕草をして……、


「頭が切れて、器が大きい方なんだ」


答えて下さった。

小田さん本人は、50代くらいに見える。


うん。なるほど。

でも、それだけじゃ陸なのか、祥お父様なのかわかんない。


「俺たち社員のことを考えて、大事にしてくれるし」


短髪の男性が料理をつまみながら続けた。

社員への待遇もいいらしい。


「へぇ……」


相槌を打ちながら、話を聞く。


「部長は、社長に会っていますよね?」


短髪じゃない男性が、問いかけた。


「あぁ、何度かね。でも会ってびっくりしたよ、あまりにも若くて」

「あまりにも若い?」


小田さんの言葉に、聞き返すと。


「うん。杏樹ちゃん、驚かないでね。これは、上層部の人間しか知らないんだけど……社長の年齢は君と同じなんだ」

「えっ……」


とっさに、『初めて知りました』という表情を作った。

彼らは、その社長とあたしが知り合いだとは知らないしね。

皆さんが話している社長というのは、どうやら陸のこと。


部下のふたりが驚かないあたり、このふたりもかなり上の役職の人なんだろうな。


「彼らよりも年下なんで、最初は仕事ができるのかと思ったけど……会社の業績は上がる一方だし、まだ10代だというのにホントにすごい人だよ」


そうしみじみとした感じで、ビールを口に運びながら言う小田さんの目には……社長の陸に対して尊敬の念が含まれているような気がした。