目を覚ますと、見慣れない天井だった。


部屋の中にある窓らしきところにはカーテンが引いてあって、光が入って来ない。


たぶん、夜かな?


目をキョロキョロとさせて、ここがどこであるか考えてみる。


そっか、あたし、スタジオ内にいた山姥たちを退治して、ケガした出演者たちを治したんだ。


それで、結構霊力を一気に使っちゃったから、収録の後……気を失ったんだっけ。


あたしが寝ているのは、ベッド。

それも、かなり大きい。

あと3人くらいは余裕で寝られそう。


ベッドのそばには、電気スタンドがあって、そこだけ明かりが点いていた。


他の電気はすべて消してあり、このスタンドの明かりだけが、部屋の中を薄暗く照らしている。


あたしの部屋でも、陸のところでもないもんね……てことは、どこかのホテルの一室かな?


肘に力を入れて起き上がった。


――カサッ……


「あれ?」


衣擦れの音で、自分が着ているものが変わっていることに気付く。


TV局では、ブラウスとスカートだったのに、今は浴衣。


陸が着替えさせてくれたのかな?


ていうか、その陸はどこだろ?


部屋の中を見渡しても見当たらないので、探しに行こうと思った瞬間。


――ガチャ……


部屋の入り口のドアが開く音がした。



誰か来た?