そして、blossomのメンバーたちからも話し声がわずかだけど聞こえた。
「どうする? こんな体じゃ、仕事できないよ」
ちーちゃんが悲しそうな顔をしている。
「来週、滝本の会社の仕事入ってたよね?」
「それまでにこのケガ治るかな?」
「治さなきゃだめだよ! せっかく来た仕事なんだから」
他のメンバーもコソコソと話していた。
彼女たちも、酷くはないけど……簡単には治らないようなケガをしている。
“アレ”やっても……いいよね。
もう陸にしかやらないって決めたけど。
必要な時だと思うから……。
――カタン……
立ち上がってすぐだけど、またその場に膝をつく。
「杏?」
あたしの様子が変だと思ったのか、陸が会長との話をやめて、こちらを向いた。
アイドルたち以外全員の視線が、あたしの背中に集中する。
「すみません、両手の平を……出してくださいますか?」
まずは、ちーちゃんから。
ニッコリと微笑むと、彼女は顔を赤くした。
え? なんで?
疑問に思ったけど、ちーちゃんはおずおずと両手を出してくれる。
その手を握ろうとした。
しかし……。
「杏樹っ!」
陸の怒鳴り声が背後から聞こえる。
「陸は黙って見てて」
ヤツが、あたしの名前を略さずに呼ぶときは、怒った時。
さすがは、彼氏だね。
今からすることを見抜いてる。
「杏樹」
冷静に返したあたしに対して、今度は怒ることなく……諭すような口調で名前を呼ばれた。
「どうする? こんな体じゃ、仕事できないよ」
ちーちゃんが悲しそうな顔をしている。
「来週、滝本の会社の仕事入ってたよね?」
「それまでにこのケガ治るかな?」
「治さなきゃだめだよ! せっかく来た仕事なんだから」
他のメンバーもコソコソと話していた。
彼女たちも、酷くはないけど……簡単には治らないようなケガをしている。
“アレ”やっても……いいよね。
もう陸にしかやらないって決めたけど。
必要な時だと思うから……。
――カタン……
立ち上がってすぐだけど、またその場に膝をつく。
「杏?」
あたしの様子が変だと思ったのか、陸が会長との話をやめて、こちらを向いた。
アイドルたち以外全員の視線が、あたしの背中に集中する。
「すみません、両手の平を……出してくださいますか?」
まずは、ちーちゃんから。
ニッコリと微笑むと、彼女は顔を赤くした。
え? なんで?
疑問に思ったけど、ちーちゃんはおずおずと両手を出してくれる。
その手を握ろうとした。
しかし……。
「杏樹っ!」
陸の怒鳴り声が背後から聞こえる。
「陸は黙って見てて」
ヤツが、あたしの名前を略さずに呼ぶときは、怒った時。
さすがは、彼氏だね。
今からすることを見抜いてる。
「杏樹」
冷静に返したあたしに対して、今度は怒ることなく……諭すような口調で名前を呼ばれた。


