みんなと同じように床に座り込んでいた柚莉が、一瞬で恐怖の表情になり、あたしに向かって指をさして何かを訴える。


「どしたの? 柚莉?」


すると、陸の表情までもが一変した。


「杏! 後ろ!!」


――ビリッ!


背後に妖気を感じる。


陸の言葉でさっと印を作り、破滅の言葉を告げた。


「失せな」


――グシャ


その瞬間に、後頭部の辺りで何かがつぶれたような音がする。


クルリと後ろを振り返ると、先ほど毒に触れて体が溶けていた山姥の頭だけが転がっていた。


これ以外は溶けてしまったみたい。


毒の破壊力すごいでしょ?



奴の目からは眼球が飛び出て、血の涙が流れている。


皮膚も赤くただれ……頬の骨がむき出し。


髪まで溶かしていたのか、脳の一部が見えていた。



「おのれ~~神崎……」


まだ恨み言をいう力は残ってるんだ?



「その先は、あの世で言いなさい。滅!」



印を山姥の頭に向かって振り落とし、木っ端みじんにした。