スタジオ内を見渡し、異常がないことを確認する。


そして、みんながいる方を見た。


「あ、杏樹……終わったの?」


零ちゃんが恐る恐る聞いてくる。


「うん、終わったよ」


安心させるように微笑むと、彼女はトサッと床に座り込んだ。


両手は西国くんの腕にしがみついていたからか、彼も彼女に引っ張られて体勢を崩す。

だけど、それはみんな一緒のようで。

一斉にあたし以外の全員が息を大きく吐いた。


あ、そうだ。


「解」


印を組んで、彼らを守っていた結界を解く。


手の平の上に向けた左手を胸の前に置くと、数十枚の呪符が自分たちで勝手に戻ってきた。

うん、いい子たち♪

結界が解かれたので、立っていた人たちがその場に腰を下ろす。


「な、なんだったんだ。今のは……」


アイドルのjunkieのひとりが呟いた。


「退魔調伏」


ものすごく簡潔に答える。


「妖怪っているんだ……」

「つーか、アンタ何者?」


あたしの仕事を知らないから、次々とjunkieから問いかけが上がった。

あーあ。陸たち以外、眠らせておけばよかった。


秘密バレちゃったし……。


――ポリポリ……

自分の頬を掻いて、これからのことを考える。

その時だった。


「あっ……杏樹っ……!!」